「朝からさっそく集中力が出ない」
「夕方には疲れきって何に対しても集中できない」
こういった経験がある人も多いと思いますが、慢性的な疲れを感じている人は、働く人の7割にのぼると言われています。
集中力の低下は、ウィルパワーというエネルギーが減少しているために起きます。
ここでは、そのウィルパワーを回復するのに最も重要な「睡眠のコツ」についてご紹介します。
集中力の源はウィルパワー

私たちが集中力を発揮する際、ひたいから2-3センチ奥にある「前頭葉」という場所から湧き出る「ウィルパワー」というエネルギーを使っています。
このウィルパワーは容量があり、集中力を使うほどに消耗していきます。
注意すべきは、ウィルパワーの出どころは1つしかない、ということです。
仕事、スポーツ、スマホゲーム、家族との会話など、全く異なる行動でも、使われるウィルパワーは同じなのです。
「仕事で疲れてダイエットがうまくいかない」
「家族とケンカして仕事の効率にも影響が出る」など
仕事でもプライベートでも集中力を発揮するためのエネルギー源は同じであり、一見関係ないようなことでも、気持ちを切り替えれなかったり、引きずってしまうのは当然のことなのです。
このウィルパワーは、休んだり回復アイテムを使うゲームのHPと似たようなもので、寝たり栄養を補給することで回復することができます。
つまりは、睡眠や栄養補給をどう行っていくかが、集中力を維持していくためのコツとなります。
睡眠不足は集中力を奪う最大の要因

睡眠不足は、脳科学的には「軽度の前頭葉の前野機能障害」とされています。
6時間未満の睡眠が習慣的になり、慢性的な睡眠不足に陥ると、一般的には外部からのストレスや刺激に過剰反応しやすくなり、わずかな物音で注意力を奪われ、集中力が続かなくなると言われています。
そして、注意力が様々な方向に向くことで、ウィルパワーの消耗も激しくなります。
私たちが寝ているときにも、脳はエネルギーを消費し動き続けています。
睡眠中の脳の働きは主に2つあります。
1つは疲労回復で、損傷した神経細胞の修復を行います。
もう1つは、起きている間に学んだことを記憶に定着させます。
外部から情報が入ってこない睡眠中に、脳は疲労や損傷を回復し、記憶を定着させていくのです。
疲労が回復できなければ記憶の定着も悪くなります。
できる人ほどよく眠るという事実

ここまで説明した通り、どんなに忙しくても十分な睡眠を確保することは、日中の生産性を上げるために必要不可欠となります。
寝るから覚えることができて、寝るから勉強や仕事に必要なウィルパワーを回復させることができるのです。
アインシュタインは1日10時間寝ていたと言われており、AppleのCEOティムクックは毎日確実に7時間の睡眠時間を確保していることを公言しています。
スターバックスの創業者ハワードシュルツは8時間睡眠の提唱者です。
また、東大合格者の睡眠時間は平均7時間前後であったことも分かっています。
ウィルパワーを回復するのに必要な睡眠時間は、人によって異なり、その時間は遺伝子によって決まっています。
主にはショートスリーパー、ロングスリーパー、そして8割の人が該当するミドルスリーパーに分かれます。
ミドルスリーパーの必要睡眠時間は7-8時間と言われており、睡眠時間が7時間を切ると、酔っ払っているのと同じくらい判断力が低下すると言われています。
寝ている時間がもったいないと言って、夜更かしして勉強したりゲームをしたりして、通勤電車で早速眠くなり、会社についてもぼんやりしているようであれば、明らかに睡眠時間が足りていません。
生産性の上がらない寝不足状態で1日を過ごすのと、1-2時間早く寝て1日を精力的に過ごすのでは、後者の方が良いのは明らかでしょう。
寝すぎも良くありませんが、自分に必要な睡眠時間を見極めて、十分寝るようにしましょう。
睡眠の質を上げるコツ

睡眠時間も大事ですが、同じく大事なのが質です。
ここでは具体的に4つのコツを紹介します。
寝る前の良い習慣をつける
できれば寝る2時間前からスマホやテレビを見るのをやめましょう。
液晶画面から出るブルーライトは、日中は人間の集中力や活動力を高めてくれますが、寝る前に見てしまうと脳が昼だと勘違いしてしまい、入眠を妨げる要素になります。
また、寝る1時間前に入浴するのも効果的です。
入浴すると一時的に体温が上がり、その後徐々に下がってきます。
体温が下がるにつれて眠くなるので、自然な眠りにつくことができるというわけです。
ゴールデンタイムに眠る朝型スタイル
人間は600万年の歴史の中で、日の出とともに起きて、太陽が沈んで暗くなると眠りにつくという、自然環境に最適化するスタイルで生活してきました。
古代から繰り返されてきたリズムは、遺伝子レベルで私たち現代人の中にも残っています。
睡眠の質は、ゴールデンタイムと呼ばれる22時から2時の間に深い眠りについているかどうかで決まると言われています。
これはメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌がピークになる時間帯であり、脳の疲労回復やウィルパワーを回復するのに最も効果があるためです。
音ではなく光で起きる
質の高い睡眠には、光の刺激を受けない暗闇が必要です。
都市部では、電気を消しても街頭などの明かりが反射したりして、完全に暗くならない場所が多いです。
そんな時は、遮光カーテンを使いましょう。
うるさい音で起きるのは脳に良くないと言われています。
目覚まし時計よりも、光で起きるのが理想です。
そこで使えるのが、タイマー機能つきのLED照明です。
iPhoneでタイマーを設定したり、アレクサやGoogleホームと連携させることもできます。
光の種類も調整できるので、朝に自然光に近い色で自然な目覚めを再現することができます。
もっと手軽に実践できるのが、発色や自然音で起こしてくれる目覚まし時計です。
朝陽を浴びて体内時計を整える
さらに、朝起きてから20-30分ほど日光を浴びることで、ビタミンDを摂取し、体内にセロトニンを生成します。
セロトニンは、ストレスをコントロールして不安を軽減する効果があり、体内時計を調節してくれます。
朝から公園などの緑の中を散歩すれば、ストレス軽減効果も相まって、1日の集中力はさらに向上するでしょう。
20分のパワーナップを取り入れる

パワーナップとは、目を閉じて脳を休める休憩法です。
パワーナップのメカニズムは、90分の深い眠り→20分の浅い眠り、という眠りのサイクルを利用したもので、20分のパワーナップで浅い眠りをとったと脳に錯覚させ、ウィルパワーを回復させるというものです。
15-20分のパワーナップは、実に3時間の睡眠に匹敵するとも言われていて、GoogleやAppleでも効果が認められて会社としてパワーナップを推奨しています。
会社のデスクや公園などどこでも実践できますので、ぜひ生活に取り入れてみてください。
目も休めることができるので、頭がスッキリします。
まとめ
集中力を発揮するという観点から、睡眠のコツについてまとめてきました。
睡眠不足は集中力の回復を大きく妨げます。
自分に必要十分な睡眠をとり、質を高めるコツを実践していくことで、ウィルパワーを回復し、起きている時間を精力的に過ごしていきましょう。
参考:自分を操る超集中力