税金と社会保険

 

個人事業主が納める税金は主に4つ

納税義務の目安 納付先
所得税 事業所得が48万円以上 国税
住民税 事業所得が43万円以上 地方税
個人事業税 事業所得が290万円以上 地方税
消費税 前々年の課税売上高が1,000万円以上 国税

地方税

小規模の個人事業主は所得税と住民税の2つになる

 

個人事業主が加入する社会保険は主に2つ

加入の目安 納付先
国民年金保険 20歳以上60歳未満(65歳未満に引上になりそう) 日本年金機構
国民健康保険 基本的に全事業主(他の公的医療保険に加入する場合を除く) 地方税

 

代表的なその他の税金

加入の目安 納付先
固定資産税 土地・家屋・償却資産を所有したとき 地方税
自動車税 自動車を所有したとき 地方税

 

所得税

所得税とは:個人の所得に対してかかる税金。課税所得に税率をかけて所得税額を算出。所得税額から税額控除を差し引いた金額を所得税として納付する。

課税所得額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超 330万円以下 10% 97,500円
330万円超 695万円以下 20% 427,500円
695万円超 900万円以下 23% 636,000円
900万円超 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

所得税額のシミュレーション

会社員は給与から天引きされるが、個人事業主は毎年確定申告をして納付する。

 

住民税

所得税とは:「都道府県民税」や「市町村民税」などを合わせた税金。個人の課税所得に応じた「所得割」+ 自治体ごとに異なる年間おおよそ4,000〜5,000円程度の「均等割」で決まる。その年の1月1日時点で住民票がある区市町村に納める。おおむね課税所得の10%と計算できる。

  • 所得割は一律10%(道府県民税4%+市町村民税6%)
  • 均等割りは約5,000円(都道府県約1,500円+市区町村約3,500円)
住民税 所得割(10%) 均等割(約5000円)
都道府県 課税所得×約4% 約1500円
市区町村 課税所得×約6% 約3500円

納付は6月に一括納付か、年4回の分割納付

住民税を減らす方法

住民税のシミュレーション

住民税・国民健康保険料の支払い方法

 

個人事業税

個人事業税とは:事業を営む個人に課せられる地方税。対象は70業種。収入金額から必要経費と事業主控除(290万円)・繰越控除を差し引いた金額が課税基準になる。確定申告をしていれば届出は不要。納付した個人事業税は、租税公課として経費にできる。

個人事業税額=(収入ー必要経費ー290万円ー繰越控除)×税率

 

 

※青色申告特別控除を含め、所得控除は差し引けないので、中小機構「経営セーフティ共済」などを活用して経費を増やす。

主な業種 税率
物品販売業、料理店業、飲食店業、商品取引業、駐車場業、代理業、広告業、不動産貸付業、請負業、仲立業、写真業、運送業

コンサルタント業、デザイン業、美容業、理容業、税理士業、司法書士業、社会保険労務士業、行政書士業、公認会計士業、弁護士業、弁理士業医業、歯科医業、歯科衛生士業、薬剤師業、獣医業、公衆浴場業(銭湯)、クリーニング業

5%
畜産業、水産業、薪炭製造業 4%
あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復、そのほかの医業に類する事業、装蹄師業 3%

 

繰越控除

損失の繰越控除 被災事業用資産の
損失の繰越控除
譲渡損失の控除と繰越控除
青色申告者で、赤字になった場合 白色申告者で、天災などによる損失がある場合 機械などの事業用資産の譲渡によって損失が生じた場合

経費になる税金(租税公課)と経費にならない税金

 

消費税

前々年の課税売上高が1000万円を超える事業主は消費税の納付が義務、1000万円以下の事業主は免税事業者になる。開業から2年間は売上高に関わらず納付義務は発生しない。

消費税 = 国税(7.8%) + 地方税(2.2%)

納付する消費税 = 売上に含む消費税 ー 仕入れ等で支払った消費税

 

課税売上高とは:消費税の課税対象となる取引で得た売上金額のこと。取引は次の4種類に分かれる。

概要
課税取引 国内で事業として対価を得て行われる取引 原則すべての国内取引
免税取引 本来は課税対象だが特別に免除される取引 輸出、国外輸送など
非課税取引 消費税の性質になじまない国内における取引 土地の譲渡、貸付など
不課税取引 「課税取引」に当てはまらない取引 国外取引、寄付など

経費になる税金(租税公課)と経費にならない税金

 

国民年金保険

国民年金とは:20歳以上60歳未満の国民が強制加入となる公的年金制度。個人事業主は「第1号被保険者」に該当。保険料は年々増加傾向にあり、2022年時点では16590円/月。半年や2年などの前納で少し割安になる。クレジットカードでの納付がおすすめ。滞納すると財産を差し押さえられるが、状況によっては納付期間の猶予・免除もある。納付した国民年金保険料は所得控除できる。

第1号 20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職者など
第2号 厚生年金や共済に加入している会社員・公務員
第3号 第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収130万未満)

 

支給される年金

老齢基礎年金 65歳から加入者本人に支給
障害基礎年金 重度の障害(1級・2級)を患ったときに加入者本人に支給
遺族基礎年金 加入者が死亡したときに遺族に支給

 

国民健康保険

国民健康保険とは:個人事業主などが加入する公的医療保険(健康保険/国民健康保険組合/国民健康保険)。会社員は「健康保険」に加入する。日本に住民票があるすべての人は公的医療保険への加入義務がある。保険料は所得が高いほど高くなり、市町村・家族構成・固定資産税額にも影響される。所得控除できる。

国民健康保険料のシミュレーション

国民健康保険で受けられる主なサービス

療養の給付 自己負担3割で一定の医療を受けられる
高額療養費 治療費などが高額になった場合、自己負担が一定額で済む
出産育児一時金 加入者が出産した際、1児につき42万円が支給される

 

固定資産税

固定資産税とは:所有する土地・家屋・償却資産に対して支払う税金。地価の高いエリアほど税額が高くなる。土地や家屋の評価は3年に一度見直される。年4回の納期ごとに分割して支払う。

  • 土地:田んぼ、畑、山林、牧場など
  • 家屋:一軒家、マンション、店舗、工場、倉庫など
  • 償却資産:自動車、機械設備、コピー機、パソコンなど

 

固定資産税の税額 = 固定資産の評価額(課税標準額)× 標準税率(1.4%)

 

総務省 固定資産税

 

自動車税

自動車税とは:所有する自動車に対して課税される地方税の一種。税額は排気量などの環境性能や購入時期に応じて決まる。自家用車と営業車でも税額は異なる。

自家用車(普通車サイズ)の税額(年額)の一例

総排気量 令和元年10/1以降登録 令和元年9/30以前登録
電気自動車 25000円 29500円
1L超~1.5L以下 30500円 34500円
1.5L超~2L以下 36000円 39500円

東京都主税局「自動車税種別割」