価値観が多様化した現代では、人生の価値化を探すのは思ったよりも難しいことです。
価値観を明確にするのが難しいのは、私たち人間が「抽象的な問題」の取り扱いに慣れていないからです。
600万年続いてきた狩猟採集時代には、「獲物はどこだ」「今日の天気は」といった問題について考えれば十分で、現代人のように「愛」「理想」「夢」といった概念は存在しませんでした。
私たち人間の脳は、長年続いた古代の環境に最適化してきたので、現代にあふれる抽象的な問題に対処する機能は発達していないのです。
そこで、「人生の価値観」という抽象的でありながらも非常に重要な問題に対処するため、パーソナルプロジェクト分析(PPA)を使いましょう。
パーソナルプロジェクト分析(PPA)とは?

パーソナルプロジェクト分析(PPA)とは、ケンブリッジ大学のブライアン・リトル氏が考案した、人生の満足度を高めるための自己分析メソッドです。
ボトムアップ型の仕組みであるため、初心者でも使いやすいツールと言えます。
PPAには30年以上ものデータの蓄積があり、実践した人はおおむね人生の満足度が向上することが分かっています。
価値観の明確化に役立つポイントだけをとってみていきましょう。
【実践】パーソナルプロジェクト分析(PPA)

Step1:パーソナルプロジェクトのリストアップ
まずは、今自分が取り組んでいるプロジェクトをリストアップします。
プロジェクトと言っても、簡単な日常のタスクや、抽象的な願望、中長期的な目標として取り組んでいることでも大丈夫です。
(例)
部屋を整理する
優しい人間になる
中国語を話せるようになる
ブライアン・リトル氏によると、一般的に人は平均15種類のパーソナルプロジェクトに取り組んでいるそうです。
思いつくだけリストアップして下さい。
Step2:プロジェクトのレーティング
先ほどリストアップしたプロジェクトから、重要だと思うものを直感で10個選択します。
選んだ10個をマトリックス表の中に書き込み、重要性や困難さなどの項目を0~10点で採点していきます。
合計点が高いほど、あなたにとって重要なコアプロジェクトとなります。
各項目について、分かりづらい部分だけ以下に解説します。
透明性:周囲の人がそのプロジェクトの内容や進捗を理解・把握できる
管理性:自分でコントロールできているという感覚
責任:そのプロジェクトには社会的な責任があるか
時間適正:そのプロジェクトに取り組む十分な時間
自己同一性:自分のアイデンティティに沿っていると感じるか
支持レベル:周囲からアドバイスや金銭などのサポートが得られるか
自律性:自分の意志でやる、と感じれるか

記入例
Step3:プロジェクトの上位分析
最後のステップで各プロジェクトを深堀りします。
採点の結果、合計点数が高かった上位5つのプロジェクトを選び、以下の質問を上位の概念に展開していきます。
- このプロジェクトを含むもっと長期的なプロジェクト、もっとスケールが大きいプロジェクトは何か?
- そもそも自分はなぜこのプロジェクトをやっているのか?
何度も問いを重ねていき、もっとも上位に出てきたプロジェクトが、あなたにとって重要な価値観となります。

プロジェクト上位展開の例
次に、食べ過ぎを止めるというプロジェクトを展開した例です。
上位展開につまったときは、自分がマトリックス表に記入した点数を参考にしてください。
例えば、ダイエットの例で言えば、責任が高ければ、家族の将来のために健康管理が必要など、自分が重要視している要素がみえてきます。
まとめ

価値観を明確にするためのパーソナルプロジェクト分析(PPA)について紹介してきました。
いったん上位の価値観がみつかれば、あとはそれに沿って日々の生活をコントロールしていくだけです。
日々の行動に落とし込んでいく際には、習慣づくりのテクニックを利用しましょう。
参考:最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~