クレーム対応・謝罪を成功に導く心得とテクニック

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読書日記

参考:仕事がデキると言われている人が必ずおさえいる謝罪・クレーム対応の鉄則

仕事がデキると言われている人が必ずおさえている 謝罪・クレーム対応の鉄則 - 小川 貴之, 浅井 真紀子

 

仕事をしていると、謝罪しなければならない場面は必ずやってきます。

できれば謝ることなんて避けて生きていきたいものですが、ときには自分に非がない場合でも謝らなければなりません。

そして、締め切りを守れなかった、連絡ミスがあった、不良品を出したなどのクレームに対応するときは、謝罪の仕方や対応次第で結果が大きく変わってきます。

謝罪は、ビジネススキルや知識などを含め、人としての総合力を試されるようなものです。

ここでは、次につながる正しい謝罪やクレーム対応について、その心得とテクニックをご紹介します。

 

クレーム対応・謝罪は「見た目」が5割

心理学者アルバート・メラビアンの法則によると、人が相手を受け入れるまでには4つの壁があると言われています。

  1. 第一の壁:外見
  2. 第二の壁:態度
  3. 第三の壁:声のトーン
  4. 第四の壁:話の内容

 

外見55%→態度38%→声のトーン7%→話の内容

話を聞いてもらう前に、身なりや態度、声色といった外側の部分を受け入れてもらわないと、次に進めないというわけですが、身なりだけで半分も判断されてしまうのです。

一般的に言っても、見た目や態度といった要素がこれだけ相手に与える印象を決めているわけですから、クレーム対応や謝罪する場面においてはより注意すべきだと言えます。

謝罪やクレーム対応において、お詫びの気持ちや言葉の選び方が大切なのはもちろんですが、それは外見が伴っていなければ相手に伝わらない、ということがよく分かる法則です。

 

相手への印象を良くする服装や姿勢

ひげを生やしたまま、ぼさぼさ頭で謝罪に行けば余計に怒りを買う可能性が高いです。

見た目と謝罪すべき問題の間に何の関係もないと言いたいかもしれませんが、上でも述べたように、人は身なりで5割判断されます。

相手が人間である以上、クレーム対応や謝罪には、身なりをキレイにし、服装も適したものを選ぶことも大切なのです。

スーツやネクタイはグレーや紺色でまとめると、落ち着いていて誠実な印象を与えることができます。赤やピンクなどの派手な色は避けましょう。

後ろで手を組むと、手のひらを隠す=防衛にまわっているというサインとして相手に伝わります。腕組や手をポケットに入れるのは論外です。

手を組むときは、前に組みましょう。

 

相手への印象を良くする表情や目線

顔の表情は、言葉以外で誠意を示す重要なツールとなります。

冷静すぎる表情や、無表情、口を開けていたり、ヘラヘラしていては、問題を真剣に受け止めていないと思われ、火に油を注ぐことになります。

クレーム対応や謝罪では、相手に合わせ驚いた表情や神妙な顔つきを意識しましょう。

目線は基本的に相手の眉間や鼻、口元を見ながら話しましょう。

目を凝視するのは相手の怒りを買う可能性大です。

視線を合わせるのは話の要所要所だけにし、目線を動かすときは縦に動かしましょう。

横に動かすと、目をそらしている、目が泳いでいるという印象を与えてしまいます。

また、上から見下ろすのはもちろんNGですが、下からの目線も自信がない印象を与えます。

目線は相手と水平に合わせるように注意しましょう。

 

クレーム対応は傾聴姿勢・共感が第一

人は「話し方」で9割変わる話し方で 損する人 得する人などの著書でも共通して言われていることが、「コミュニケーションの基本は相手の話を聴くこと」です。

心理学者アブラハム・マズローは、人間の欲求は5段階に分かれることを説明しています。

❶生理的欲求→❷安全・安定欲求→❸親和欲求→❹承認欲求→❺自己実現欲求

生きていくために必要な衣食住といった❶生理的欲求から始まり、人間は次の欲求を持つようになります。

現代においては、❹承認欲求(周囲から認められたい)と、❺自己実現欲求(仕事やプライベートで自分の可能性を伸ばしたい)といった、高いレベルの欲求が重要になってきています。

クレーマーも同様に、「聞いてほしい」「理解してほしい」という気持ちを持っています。

よって、まず第一に傾聴姿勢(相手の話を良く聴く)ことが大切になるのです。

自分の意見を述べたり、解決策の提案をするのは、相手の話を全部聞いたあとのことです。

 

人間心理を利用した謝罪・クレーム対応へのアプローチ【LEAD法】

アメリカの経営学者ポール・G・ストルツは、謝罪やクレーム対応を解決するための方法として、LEAD法という行動理論を提案しています。

LEADとは、4つのプロセスの頭文字をとったものです。

  1. LISTEN:傾聴…まず相手の話を聴く
  2. EXPLORE:事実確認…問題点を掘り下げる
  3. ANALYZE:分析…対策の検討
  4. DO:実行…できることを即実行する

 

【LISTEN】話を聴くことが第一

まずは話を聴くことが第一です。

怒りの理由を探ること、問題点を明確にするためにも、話を聞きます。

話を聴くだけで相手の怒りが収まってくる場合もあります。

適当に聞かない、相手を否定しない、話の腰を折らない、といった点に十分注意しましょう。

「ですが…」「そんなことはありません」といった否定形の言葉を返していては、相手の怒りを増幅させるだけです。

話を途中で遮ったり、理論で言いくるめようとするのもNGです。

【EXPLORE】事実確認、問題点の把握

怒りの感情だけで話している相手の場合、話が整理されていなくて、結局何が問題なのか、何に対して怒っているのか分からないことがあります。

一通り話を聞きながら、問題点をまとめていくようにします。

「仰っているのは~ということでしょうか?」のように質問し、問題を整理しましょう。

問題を整理できるだけでも、相手に対し理解や共感を示すことができ、怒りを抑える効果があります。

【ANALYZE】解決策の検討

問題が見えてきたら、解決策を考えることができます。

しかしながら、クレームには「感情的問題」と「物理的問題」の2種類が考えられます。

感情的問題であれば、理解・共感を示し、丁寧に謝罪することで解決できるケースが多いです。

一方で物理的問題であれば、製品の不良やサービスの不備など、解決策や代案が必要になり、あなた個人ですぐに解決できない問題となります。

まずはその選り分けをし、適切な対応をとりましょう。

【DO】問題解決の実践

解決策や対応案が見えれば、あとは実践するのみです。

物理的問題が原因であれば、はっきりと自分ひとりで判断できない旨を伝え、謝罪の意を述べ、上司への報告や関連部署との確認など、必要なアクションをとりましょう。

以上がクレーム対応の土台となるLEAD法と呼ばれる手順です。

最も重要なのは傾聴の部分、相手を理解しようと努める姿勢です。

 

クレーム対応・謝罪に状況や空間を使うテクニック

クレーム対応のレベルはピンキリです。

丁寧に謝れば解決する問題もあれ、いくら身なりをキレイにしても、いくらスピーディーに動いても、相手の怒りが収まらない場合もあります。

どうしようもない重度の問題に対しては、「3変法」を使いましょう。

  1. 人を変える
  2. 場所を変える
  3. 時間を変える

 

人を変える ハロー効果で抑え込み

「上司を出せ!」

「お前じゃ話にならん!」

非常に厳しい言葉ですが、どんなに誠意をもって対応しても話が進まない問題もあります。

そんなときは、言われた通り、というわけじゃありませんが、人を変えるのも有効な手段です。

人を変えるだけでも、自分が大切に扱われているという満足感を相手に与えることができます。

「ハロー効果」と呼ばれるもので、新人→先輩・上司→責任者と対応する人の肩書が上がるだけで、同じ説明であっても相手にとっての説得力が増します。

偉い人が話せば納得するという話ですね。

難航しそうな問題であれば、早めに先輩や上司に相談して、早期解決を図りましょう。

これは普通のことであり、自分が力不足だから迷惑をかけたなどと落ち込む必要はありません。

時間を引き延ばして相手の怒りが積もれば、もっと大変なことになります。

場所を変えることで、丁寧な印象を与える

ここぞという場面では、普段と場所を変えるだけで、相手の心象を良くし、話を有利な方向に進める効果が期待できます。

例えば、人の多いカウンターやオープンスペースではなく、個室の応接室や会議室へご案内することで、丁寧に扱っている印象を与えることができます。

また、普段はいつも電話という場合は、直接訪問することで、大切にしているというメッセージを伝えることができます。

問題のレベルによって場所を選らぶようにしましょう。

時間を変える 時間を空けて落ち着かせる

時間や日を改めるというのも一つの手法です。

クレーム対応や謝罪はスピードが大事ですが、ケースによっては少し時間をおくことで相手が落ち着く場合もあります。

まず電話で、日を改めて訪問、という方法も場合によっては有効です。

相手とのベストな物理的距離

実際に人と会うときは、物理的な距離にも気を付けてみましょう。

立ち位置が近すぎると緊張や警戒心を高め、遠すぎると心理的距離も遠くなってしまいます。

遠すぎず近すぎず、話しやすい距離を保つことも、謝罪やクレーム対応にとっては大切なポイントです。

アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールによると、相手との距離は120センチ程度がベストと言われています。

向き合って手を伸ばした時、相手に手が触れるか触れないかぐらいの距離です。

また、正面で向き合うと、丁寧に見える一方で緊張を与えます。

まず最初の謝罪できちんと正面に立って話をし、その後はやや斜めに位置取りするか、身体をやや斜めに向けることで、余計な緊張が緩和されます。

 

参考:仕事がデキると言われている人が必ずおさえいる謝罪・クレーム対応の鉄則

仕事がデキると言われている人が必ずおさえている 謝罪・クレーム対応の鉄則 - 小川 貴之, 浅井 真紀子